この記事でわかること
会議のたびに発生する議事録作成。
録音を聞き直しながら要点をまとめるこの作業は、想像以上に時間と労力がかかりますよね。
でもGoogle Workspace(以下GWS)ユーザーであればGoogle MeetとGeminiを組み合わせることで、この手間をぐっと減らすことができるんです。
録音・文字起こし・要約までをすべてGoogleのサービス内で完結できるので、AIに任せられる工程は自動化し、本当に集中すべき業務に時間を使えるようになります。
この記事では、Google MeetとGeminiを活用した議事録の自動化ステップや、実践に役立つコツをわかりやすくご紹介します!
※本記事の内容は2025年6月時点の情報に基づいています。最新情報は公式サイトをご確認ください。
議事録を効率化する基本ステップと全体の流れ
AI活用で「全部自動化」は難しい?だからこそ「部分効率化」を
議事録作成を完全にAIだけで自動化できたら理想的ですよね。でも実際には、まだすべてを任せるのは難しいのが現実です。
録音忘れや文字起こしの精度、要約の正確性など、どうしても人の判断や確認が必要な作業が残ります。
だからこそ重要なのは「どこを効率化できるか」を見極めて、手間のかかる工程だけをツールに任せる「部分効率化」の考え方です。
議事録作成の流れは3ステップ!
議事録作成は、以下の3ステップで効率的に進めることができます。
それぞれの工程でどのツールを使えば手間が省けるのか、どこまで自動化が可能かを考えるのが効率化の第一歩です。
会議の内容を音声で記録する工程
録音した音声を聞き取り、文字に書き起こす工程
文字起こしした文章を読みやすくまとめ、議事録として整理する工程
議事録作成の3ステップと効率化のポイント
議事録作成の3ステップのうち、どの作業をツールに任せ、どこを人の手で補うか、を考えることで無理なく効率化が進められます。
ではそれぞれのステップごとに、どこをツールで効率化できるのか詳しく見ていきましょう。
STEP1:録音・録画
Google Meetには、録音(録画)機能が搭載されています。
GWSのBusiness Standard以上のプランでは自動的にGoogleドライブに保存されるので、録音データを後から確認することも可能。録音データはGeminiや他のAIツールで活用する素材になります。
GWS利用ユーザー以外は録音機能が使えないため、PCの画面録画ソフトなどを使って記録を残しましょう。
STEP2:文字起こし
録音した会議音声は自動で文字起こしされ 、.docx形式のファイルとして保存されます。
発言者ごとに区別されたテキストが自動で整理されるので、そのまま要約や編集に使えるのも便利なポイントです。
GWSを利用していない場合は、Googleドキュメントの音声入力機能や他の文字起こしツールを使うことで、会議音声をテキスト化することができます。
STEP3:要約・整形
GeminiはGoogleアカウントがあれば無料で利用でき、Googleドキュメントなどとも自動で連携できるのが魅力です。
保存された文字起こしファイルをGeminiに読み込ませることで、希望の形式の議事録に自動整形できます。
たとえば、以下のような加工も可能です。
- 議題ごとの分類
- 決定事項やアクションアイテムの抽出
- 箇条書きによる整理
テンプレート形式への変換にも対応しているため、そのまま報告書として使える内容に仕上げることができます。
またGWS Business Standardのプランを契約しているユーザーは、Googleドキュメント上でGeminiによる編集結果をそのまま反映・共有することも可能です。
Google Meetの基本機能とGWSプランの違い
Google MeetはGWSに含まれるビデオ会議ツールで、ビジネス用途に最適化された機能が搭載されています。
特に議事録作成に役立つ3つの基本機能があり、プランによって使える範囲が異なります。
録音(録画):会議の映像と音声を録音してGoogleドライブに保存可能。議事録作成の元データとして活用できます。
リアルタイム字幕:会議中の発言が自動で字幕表示されますが、保存はできません。
自動文字起こし:会議終了後に発言内容を自動でテキスト化し、.docx形式で保存されます。
これらの機能はすべてのGoogleアカウントで利用できるわけではなく、GWS Business Standard以上の有料プランでのみ提供されているものも含みます。
以下の表で機能と対応プランの違いを整理しておきましょう。
機能 | 内容 | 対応プラン |
---|---|---|
録画(録音) | 映像と音声を録画 Googleドライブに保存可能 | Business Standard以上 |
リアルタイム字幕 | 会議中に字幕表示(保存不可) | 全プラン対応 |
自動文字起こし | 会議終了後に発言を自動でテキスト化 .docx形式で保存 | Business Standard以上 |
Google Meet × Geminiの役割と組み合わせ方
議事録作成の各ステップで「どのツールを使うべきか?」を見極めることは、作業時間の短縮や工数削減につながります。
このセクションでは、Google MeetとGeminiの役割分担と効果的な組み合わせ方を見ていきましょう。
録画・文字起こしはGoogle Meetを活用
Google Meetに標準で準備されている録画・文字起こし機能を活用しましょう。
会議の録画データに基づいて自動で文字起こしされたドキュメントが、Googleドライブに.docx形式で保存されます。
この工程が自動化されていることで、手作業による聞き直しの手間を大幅にカットできます。
要約・整理はGeminiを活用
文字起こしされた会議記録をGeminiに読み込ませることで、発言を整理・分類し、読みやすいドキュメントに変換できます。GeminiはGoogleドキュメントと連携できるため、そのまま編集・共有も可能。
議題ごとに整理したり、誰が何をするか(ToDo)を洗い出したりする作業もスムーズに進められます。
GeminiとChatGPTの違いと使い分け
議事録を整形する生成AIは使いやすいもので問題ありませんが、GWSユーザーはGeminiを使うことで得られるメリットがあります。
GeminiはGoogleドライブやドキュメントと連携して動作するため、文字起こしデータをそのまま取り込み、議題ごとの分類や要点の整理、アクションアイテムの抽出がスムーズに行うことができます。
さらにGWSの管理ポリシーに沿って運用できるため、アクセス制限やログ管理、データ保護も徹底でき、社外秘の情報を扱う場合でも安心です。
一方Gemini以外の生成AIを利用したいケースでChatGPTを例にとると、Googleサービスとの連携が標準では用意されていないため、ファイルのアップロードやコピー&ペーストといった手作業が必要になります。
ただし、プロンプトによるカスタマイズ性が高く、複雑な構造整理や文書テンプレート化など柔軟な出力が可能なのは大きな利点です。
いずれの生成AIも優れた要約性能を持っているため、用途や使いやすさで選ぶのがおすすめです。
GWS以外のユーザーにも使える方法は?
GWSを使っていない場合でも、PCの画面録画ソフトで音声を記録し、Googleドキュメントの音声入力やYouTubeの自動字幕機能で文字起こしすることで対応できます。
要約やドキュメント整形には、ChatGPTやGemini for Docs(無料版)などの生成AIを利用できます。無料アカウントでも実用的な議事録が作成可能です。
Googleドキュメントの音声入力で簡易文字起こし
Gemini for DocsやChatGPTで要点整理・構造化
議事録自動化の3パターン
パターン1. Meetで録画 + Geminiで要約
GWSのBusiness Standard以上を利用しているユーザー向けの、最も効率的な自動化パターンです。
録音から要約までがすべて自動化されており、議事録作成にかかる手間を最小限に抑えることができます。
1-1. Google Meetで会議を録画する
Meet画面右下メニューより「録画」を選択 > 必要な項目にチェックを入れて「録画を開始」


参加者の同意を得たうえで「開始」ボタンをクリックし、録画を開始します。

1-2. 自動文字起こしで.docxファイルを生成
文字起こし機能が有効化されていれば、録画されたデータは自動的にテキストに変換されてGoogleドライブに保存されます。
Googleドライブを開いて、会議の日時の一致するドキュメント形式ファイルを確認しましょう。
1-3. Geminiで要約・整理
Geminiに議事録を渡す方法は2種類。
- Googleドキュメント上で起動する「Gemini for Docs」を利用する
- Geminiウェブ版で.docxファイルの中身を貼り付ける
Gemini for Docsを利用する場合
ドキュメントを開いて内容を確認し、問題なく文字起こしできていることが確認できたら、右上の「Geminiマーク」からGeminiを呼び出します。
プロンプト入力画面が表示されるので、希望の形式での要約を依頼します。

Geminiウェブ版を利用する場合
ウェブ版のGeminiを開き、議事録データを貼り付けます。
希望の形式での要約を依頼します。
1-4. Googleドキュメントで共有
Gemini for Docsを使うと要約結果がそのまま反映されるため、別途保存や編集の手間がかかりません。
GoogleドキュメントはURLでの共有、閲覧・編集・コメント権限の細かい設定が可能なため、チーム内での確認やフィードバックにも利用できます。また編集履歴が残るため、変更内容の追跡やロールバックも可能です。
ウェブ版を利用した場合は、要約結果をコピーしてGoogleドキュメントやスプレッドシートに貼り付けて管理しましょう。
共有リンクを配布することで、関係者もドキュメントへのアクセスが可能となります。
パターン2. 音声再生 + Googleドキュメント音声入力 + Geminiで要約
GWSプランを利用していないユーザーや、録音データしかない場合に使える方法です。
音声入力の精度は環境に左右されますが、コストをかけずに効率化できる手段として有効です。
2-1. 会議音声をPCで再生準備
録音済みの会議音声ファイルをPC上で再生します。
できるだけノイズの少ない静かな環境で行うと音声入力の精度が高まるため、作業場所を確保しておきましょう。
2-2. 会議音声を再生 + Googleドキュメントの音声入力でリアルタイム文字起こし
Googleドキュメントを開き、ツールメニューから「音声入力」を起動。
再生している音声をマイクで拾って、リアルタイムで文字起こしを行います。
音声認識はGoogleの高精度なエンジンを活用しているため、発音や話速に注意すれば便利に活用できます。
ただし注意点が2つ。
音声はマイク入力として認識されるため、事前にPCで再生している音をマイクが拾えるように設定しておきましょう。
また倍速再生には対応しておらず、音声をリアルタイムで再生しながら待つ必要があります。実時間分の作業時間がかかる点に注意が必要です。
Googleドキュメントの音声入力機能設定
Google ChromeでGoogleドキュメントを開く > 新規で「空のドキュメント」を選択 > 上部メニューバー「ツール」から『音声入力』を選択

左側に表示されるマイクボタンをクリックすると音声入力が開始されます。
その状態で会議の録音データをPCで再生すると、Googleドキュメント上に自動的に文字が入力されていきます。

再生が終了したらマイクを停止、出力されたテキストを確認してください。
2-3. Geminiで要点整理・整形
音声入力によってテキスト化された内容をGeminiに読み込ませ、会議の要点を分類・要約します。
Gemini for Docsを使ってそのままGoogleドキュメント上で要約作業を行いましょう。
パターン3. 文字起こし + スプレッドシート + Geminiで要約
複数人の会議や複雑な議題が多い場合におすすめの整理法です。
3-1. 文字起こしデータをGoogleスプレッドシートに貼り付け
会議内容をテキスト化したデータを、スプレッドシートにコピーします。
3-2. 発言者や議題ごとに列を分けて整理
「発言者」「議題」「発言内容」といった列を作成して内容を分類します。
事前に構造化しておくことで、後からの分析や共有がしやすくなりますよ。
3-3. Geminiで要約または表形式で構造化
整理した内容をGeminiに読み込ませて、表形式での要点整理や議題ごとの要約などを依頼します。
複雑な会議でも視覚的にわかりやすい議事録に整形することができます。
まとめ
議事録作成は工数がかかる作業ですが、AIやクラウドツールを活用することで価値ある情報共有へと変えていくことができます。
特にGWSユーザーであればGoogle MeetとGeminiを活用することで、録音から要約・共有までをセキュアかつ効率的に自動化できます。
GWSユーザーでなくても、音声入力やスプレッドシートの整理といった代替手法を組み合わせることで、十分実用的な運用が可能です。
まずはAIの力を借りて1工程ずつ自動化を始めてみましょう。
議事録をチームの「業務の強み」に変えていく第一歩を踏み出してみてください。
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