この記事でわかること
・ OpenClawはどんなAIエージェントなのか
・ セルフホスト型AIエージェントの仕組みと特徴
・ OpenClawを導入する前に知っておきたい考え方
「ChatGPTで十分では?」
こう思っているなら、実は大きな誤解をしているかもしれません。
いまAIは質問に答える「会話型チャットボット」の段階を超え、自ら考え、判断し、行動するフェーズへと進み始めています。
自分で目標を理解し、自分で判断して、能動的に動く——
こうした「能動的AI」が、今、ビジネスの現場に登場し始めています。
その象徴的な存在が、OpenClaw(オープンクロー) として知られるAIエージェントです。
本記事では、いま注目を集めるOpenClawの基本から、従来のクラウド型AIエージェント、生成AIやAIエディタとの違いまで、わかりやすく解説していきます。

OpenClawとは
OpenClaw(オープンクロー)は、自ら考え、判断し、行動することを前提に設計されたAIエージェントです。
質問に答えるだけの会話型AIとは異なり、与えられた目的に対して必要なタスクを整理し、実行までを担う点が大きな特徴です。
このプロジェクトは、2025年11月ごろに「Clawdbot(クロードボット)」という名称で、海外の開発者コミュニティ向けに公開されました。
当初から「実際の作業をAIに任せる」というコンセプトが注目され、主に技術者を中心に利用が広がっていきます。
その後、Claudeを開発する Anthropic社 から商標に関する指摘を受けたことをきっかけに、2026年1月には名称を「Moltbot(モルトボット)」へ変更しました。
この改名が話題となり、「AIが自律的に動き、実際の作業を実行するツールが登場した」として、日本を含む技術コミュニティやSNSで注目を集めます。
さらにMoltbotへの改名からおよそ数日という短い期間で、現在の「OpenClaw」へと再度名称が変更されました。
つまりこのプロジェクトは、短期間のうちに Clawdbot → Moltbot → OpenClaw と名称を変更してきたことになります。
異例とも言えるスピード感のある改名が続いたことで、ツールの存在そのものがより広く知られる結果となりました。
ただし、ここまで話題になっている理由は、決して「名前が頻繁に変わったから」だけではありません。
実際にツールの中身に触れたユーザーを中心に、自律的に判断し、実行まで担うAIエージェントとしての性能そのものが評価され、関心が高まり続けているのです。
OpenClawは、生成AIや従来のチャットボットの次の段階として「自ら考えて、判断し、実行するAI」を目指す存在として、いま注目を集めているAIエージェントなのです。

OpenClawの3つの特徴
ではOpenClawは、どのような点が従来のAIツールと異なるのでしょうか。
ここではOpenClawを特徴づける3つのポイントに注目してみましょう。
OpenClawの特徴は、次の3点に集約できます。
能動的に動くAIエージェントであること
セルフホスト型で運用できること
複数のプラットフォームから操作できること
これら3つの要素が組み合わさることで、OpenClawは実務を任せられるAIエージェントとして成り立っています。
同種のAIエージェントの中でも、この3点を前提として設計・運用されている点は大きな特徴と言えるでしょう。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1. 能動的に動くAI
OpenClawの最大の特徴は、「指示を待つ」のではなく、「自分で判断して動く」という点にあります。
ChatGPTなどの生成AIは、基本的にユーザーからの入力を受けて応答する仕組みです。
一方でOpenClawは、目的に沿って自律的にタスクを進めることを想定しています。
たとえば「毎日朝9時にSlackでレポートをまとめて」と依頼すると、毎日決まった時間に自動で実行する、といったイメージです。
人が常に画面の前に張り付かなくても、目的に沿って処理を進められる点が特徴です。
さらに「Heartbeat(ハートビート)」と呼ばれる仕組みによって、AIが定期的に状況を確認し、自ら話しかけてくるような動きも可能になっています。
たとえばメールや通知、特定の情報を定期的に監視して「これは人に知らせた方がよい」と判断したタイミングで、チャットを通じて報告や提案を行うといった使い方です。
このような「能動性」こそが、従来のAIとは違う、OpenClawが今注目されている最大の理由です。
2. セルフホスト型
次に重要なのが、「セルフホスト型」という運用方式です。
セルフホスト型とはクラウドサービスとして利用するのではなく、自社のサーバーや自分のPC上でAIを動かす運用形態を指します。
たとえば、クラウドサービスであるChatGPTでは、入力した内容はサービス提供側のサーバーに送信されます。
一方でOpenClawはセルフホスト型のため、設定情報や会話ログ、処理結果などのデータを自分(自社)の環境で管理しやすいという特徴があります。
(ただし外部APIを利用する場合は、その入力内容が各サービス側に送信されます。)
セルフホスト型には、主に次のようなメリットがあります。
セキュリティ
社外秘情報や個人情報を、外部クラウドに預けずに運用できる
プライバシー
何をAIに任せているかを、利用者自身が完全に把握・管理できる
コスト
クラウドの月額料金が不要で、構成によっては継続コストを抑えられる
「ローカル実行」という言葉を聞くこともありますが、OpenClawはまさにその利点を活かしたAIエージェントだと言えるでしょう。
3. 複数プラットフォーム対応
OpenClawはサーバー上で動く一つのAIエージェントを、複数のプラットフォームから操作できる設計になっています。
たとえば、社内サーバーにOpenClawを配置し、Slack、Discord、LINEといったツールを、操作窓口(インターフェース)として使うイメージです。
この仕組みにより、ある部署ではSlackから指示、また別の部署ではDiscordから依頼、という業務フローであっても、同じOpenClawが処理を行います。
それぞれに別のAIが存在するわけではなく、サーバー上にある1つのOpenClawを、複数のツールから呼び出して操作するイメージです。
結果として、運用がシンプルになり社内でAIを共有しやすい環境が生まれます。
外部サービス(LINEなど)との連携方法としては、APIを呼び出す方法や、ブラウザ自動化ツールを使ってサーバー上でWeb操作を代行する方法などがあります。
いずれの操作も、サーバー側で実行されます。

対応状況は変更される可能性があります。最新の情報は公式ドキュメントをご確認ください。
https://docs.openclaw.ai/?utm_source=chatgpt.com
クラウド型AIエージェントとの違い
近年はクラウド上で提供されるAIエージェントも増えてきました。
クラウド型AIエージェントは、環境構築が不要ですぐに使い始められる点が大きな魅力です。
一方で、クラウド型AIエージェントは「用意された仕組みの中で使うこと」 が前提となります。
実行環境や権限、データの扱い方はサービス側に委ねられ、利用者は決められた範囲内でAIを活用する形になります。
これに対してOpenClawは、セルフホストを前提に設計されたAIエージェントです。
どこで動かすのか、どのデータにアクセスさせるのか、どのような処理を任せるのかを、利用者側で設計できる点が大きく異なります。
クラウド型AIエージェントが「完成されたサービス」として提供されるのに対し、OpenClawは「自社の業務に合わせて改良を重ねていけるAIエージェント」として位置づけられます。
導入や運用には設計が必要ですが、業務への深い適応や拡張性を重視する場合には大きな強みとなります。
とても柔軟な活用方法が期待できるOpenClawですが、一方でセキュリティ面での注意点も存在します。
導入時に気をつけるべきリスクについては、後半で詳しく解説していきます。

生成AI・AIエディタとの違いを比較
このセクションでは、生成AIやAIエディタとの違いについてご説明します。
混同されがちですが、それぞれの役割や得意領域は大きく異なります。
実務で役立つ視点に絞って「違い」と「使い分け方」を整理してきましょう。
生成AIとの違い
生成AI(例:ChatGPT、Geminなど)は、ユーザーの入力に応じて応答を返す「受け手」の仕組みです。
その場の対話やコンテンツ生成が得意で、クラウド上で利用されるケースが一般的です。
一方でOpenClawは「自ら判断して動く」ことを前提に設計されています。
スケジュール実行や条件トリガーの判断、外部APIの呼び出しを組み合わせて、作業を自動で進められる点が大きく異なります。
例えば「毎朝9時にSlackでレポートをまとめる」と設定すれば、OpenClawは定時に処理を実行して結果を届けます。
生成AIが「質問すると答えてくれるAI」だとすれば、OpenClawは「何をすべきかを考えて動くAI」と言えます。
生成AI 対話や生成が主目的、手動での入力が起点
OpenClaw 目的達成のために能動的に動く自動実行エージェント


AIエディタとの違い
AIエディタ(例:Cursor、Claude Codeなど)は、編集やコード作成のワークフローを支援するツールです。
コードの入力補助や書き直し、説明文の作成などを通じて、人が書く作業を少ない手間で進められるように設計されているのが特徴です。
対してOpenClawは、日々の業務を自動で回すことを得意とするAIです。
チャットや外部サービスから依頼を受け取り、決められた流れに沿って作業を続けてくれるため、人が毎回手を動かさなくても業務を進められます。
AIエディタが「作業を手伝う存在」だとすれば、OpenClawは「仕事そのものを任せられる仕組み」と言えるでしょう。
AIエディタ 開発者向けの編集支援、即時フィードバック重視
OpenClaw 運用や業務の自動化、マルチユーザーでの共有運用に強み

導入前に知っておきたいこと
非常に柔軟で可能性のあるOpenClawですが、導入を検討する前に最低限知っておきたいポイントがあります。
ここでは、セキュリティ・コスト・今後の展開という3つの観点から整理します。
セキュリティと運用上の注意点
OpenClawはセルフホスト型を前提としたAIエージェントであることをお伝えしました。
これは「自社のサーバーやPC上で動かす」という意味であり、同時にセキュリティの主導権が利用者側にあることを意味します。
クラウド型のAIサービスのように、「サービス提供側がすべて守ってくれる」わけではありません。
つまり、セキュリティ設計や日々の運用管理は利用者(自社)側の責任となります。
また、OpenClawに与えた権限や指示の内容によっては、アクセス可能なデータに影響を与えてしまうリスクも考慮する必要があります。
誤った設定を行った場合、意図せずデータを削除・変更してしまう可能性もゼロではありません。
そのため、導入初期は実行範囲を最小限に抑え、検証用途から段階的に利用を広げていく運用が重要です。
OpenClawを安全に活用するために、最低限おさえておきたいポイント
① 最初は「できること」を最小限にする
② 本番データをいきなり扱わせない
③ 「何を実行できるか」を人が把握しておく
料金体系とコストの考え方
OpenClaw自体は、オープンソースプロジェクトとして提供されています。
そのため、OpenClawを利用するためのライセンス費用などはかかりません。
ですが、「OpenClawを動かす環境にはコストがかかる」ということは理解しておきましょう。
OpenClawのコストは、「月額いくら」といった固定費ではなく、セルフホスト型ならではの『構成次第で変わる料金体系』になっています。
クラウド型のAIサービスのように「ユーザー数 × 月額料金」で自動的にコストが決まるものではなく

どこにOpenClawを置くのか
どのAIモデルや外部APIを使うのか
どの程度の処理を任せるのか
といった運用設計そのものがコストに直結します。
具体的には、以下のような間接コストが発生すると理解しておきましょう。
想定される間接コスト
サーバーやPCの費用(クラウド/オンプレミス)
ClaudeやOpenAIなどの外部API利用料
初期設定や運用にかかる作業時間
このように、OpenClawの料金体系は「セルフホスト環境をどう構築・運用するか」で決まるのが特徴です。
視点を変えればOpenClawは運用の自由度が高く、小規模な構成から試して、必要に応じて段階的に広げていくといった使い方が可能ともいえます。
すでに社内にサーバー環境がある場合は、それを活用してOpenClawを動かすこともできます。
新たに大きな投資をしなくても導入できるケースがある点は、セルフホスト型ならではのメリットです。
今後の展開と注意しておきたいポイント
OpenClawは、現時点で完成された業務パッケージというより、発展途上のAIエージェントと捉えるのが適切です。
開発スピードが速く、今後も機能追加や改善が継続的に行われていくと考えられます。
今後は対応するサービスが増えたり、作業の流れをより柔軟に組み立てられるようになったりと、業務沿った活用ができるようになっていくことが期待されます。
OpenClawは「一部の作業を自動化するツール」から、業務全体を支えるAIエージェントへと役割を広げていくかもしれません。
一方で、発展途上であるがゆえの注意点もあります。
たとえばアップデートによって設定方法が変わったり、海外製のツールであることから、ドキュメントやノウハウが追いついていない場面に出くわすこともあるかもしれません。
導入にあたっては、いきなり全社展開するのではなく、影響範囲の小さい業務や検証用途から試して評価しながら段階的に広げていく進めていく方法が現実的です。
まとめ
OpenClawは、実務を任せることを見据えたAIエージェントです。
完成されたツールというより、使いながら育てていくAIと考えると分かりやすいでしょう。
短期間で複数回の名称変更が行われたことからも分かるように、OpenClawは非常にスピード感を持って進化を続けています。
それだけ多くの注目を集め、変化に柔軟に対応してきたプロジェクトだと言えるでしょう。
今後どのように進化し、どこまで実務に踏み込んでいくのか。
AIエージェントの活用を検討するうえで、引き続き注目しておきたい存在です。
\ AI導入・活用でお悩みの中小企業の方へ /
「AI導入したいけど、何から始めればいいの?」「最適なツールや活用法がわからない…」
そんなお悩みはありませんか?
ePla運営会社では、中小企業の業務に合ったAIツールの導入方・活用方法について
無料でご相談を承っています。
導入前に気軽に話せる相談窓口として、ぜひご活用ください。







