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そのまま使える!生成AIからわかりやすい回答を引き出す「5H1H」テンプレート

話題の生成AIを触ってみたものの「ChatGPTを使いこなせない…」 「何度聞いても欲しい答えにたどり着かない…」「AIの回答があまりにも雑なので利用するのを諦めてしまった…」
こんなことを感じた経験はありませんか?

多くの企業で導入が進む、生成AI。
その潜在的な可能性は誰もが認めているものの、実際に使ってみると思ったような結果が得られず、もどかしさを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これらの問題には共通の原因があります。それは「質問の仕方」です。
この記事では「5W1H」を使って、AIから適切な回答を導くためのテクニックをお伝えします。

目次

「5W1H」とは

「5W1H」は物事を整理する基本的なフレームワークとして、ビジネスの様々な場面で使われています。
5W1Hとは「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の6つの要素のことです。
これらの要素を意識してプロンプトを作成することで、生成AIからより適切な回答を引き出すことができます。

生成AIとの対話に5W1Hが効果的な理由

生成AIとのコミュニケーションで最も重要なのは「明確さ」です。
AIは意思や背景から意図を汲み取ることが苦手のため、その課題を解決するツールとして利用できるのが「5W1H」なのです。では、詳しく見ていきましょう。

人間とAIのコミュニケーションにはギャップがある

生成AIは驚くべき能力を持っていますが、人間とは異なる「理解の仕方」をします。
私たち人間は日常会話で、「あれ」「それ」といった指示語や、「いい感じで」「適当に」といった表現をよく使い、受け手側もその言葉から意図を理解することができます。しかしAIにはそれが難しいのです。

例えば、以下のようなプロンプトで質問をしてみるとします。

新入社員向けにいい感じのマニュアルを作って

このプロンプト(指示)に対し、AIは以下のように質問の意図を汲み取ることができません。

「新入社員」の知識レベルはどの程度?
「マニュアル」は何についてのもの?
「良い感じ」とは具体的にどういう形?

このようなケースではAIは推測して回答するしかありません。
当然、的を得ていない回答や使えない内容につながってしまいます。

ここで5W1Hが効果を発揮します。
必要な情報を漏れなく伝えることでAIの推測に頼らず、正確で詳細な回答を引き出せるのです。

5W1Hテンプレートを利用して指示を明確にする

それでは具体的な使い方を見ていきましょう。

生成AIで使う5W1Hの基本

Who(誰が/誰に向けて:対象となる読者や利用者を明確にする
例:「新入社員向けに」「経営層への報告用に」「IT知識のない従業員に」

What(なに):具体的な課題や成果を明確にする
例:「トラブルシューティングマニュアルを」「月次レポートのテンプレートを」

When(いつ/いつまでも):時期や期限、タイミングを明確にする
例:「来週の会議で使用する」「2025年4月からの新制度に対応した」

Where(どこで/どの場面で):使用される場所や状況を明確にする
例:「社内システムで」「リモートワーク環境で」「顧客対応時に」

Why(なぜ/何のために):目的と背景を明確にする
例:「業務効率を30%改善するため」「セキュリティ意識を高めるため」

How(どのように):形式や方法、条件を明確にする
例:「箇条書きで」「専門用語を避けて」

上で示している5W1Hの要素を意識することで、AIから実用的で適切な回答を得ることができます。
先程の質問を5W1Hで改善してみると、AIにとって理解しやすいプロンプト(指示文)になっていることがわかります。

IT知識がない新入社員(Who)向けに、社内システムへのログイン手順マニュアル(What)を作成してください。
来週の新人研修(When)でリモートワーク環境(Where)での初回ログインに使用します。
セキュリティリスクを軽減するため(Why)、画面キャプチャと注意点を含めたステップバイステップの解説(How)でお願いします。

このように5W1Hの要素を意識することで、AIから実用的で適切な回答を得ることができます。
※画面キャプチャ利用が可能な生成AIに質問したケースです。

実践!業務別5W1Hテンプレート集

実際の業務でよく発生する場面を想定した具体的なテンプレートと活用例をご紹介します。
各テンプレートはコピー&ペーストして、すぐに使い始められます。
※「出力結果」は入力例に対しての回答イメージです。

企画書・報告書作成のテンプレート

以下の条件で [ 文書タイプ ] を作成してください。

Who:[ 対象読者 ] 向け
What:[ 文書の主題 ] について
When:[ 作成時期・期限 ]
Where:[ 使用される場面・状況 ]
Why:[ 作成目的・期待される効果 ]
How:文章のトーン:[ ビジネス調 / カジュアル ]
必要な要素:[ データ/図表 / 具体例 ]
文書の長さ:[ 目安の文字数 ]
重視すべき点:[ 説得力 / わかりやすさ / 具体性 ]

マニュアル作成のテンプレート

以下の条件でマニュアルを作成してください。

Who:[ 利用者の知識レベル ]
What:[ 対象システム・手順 ] の手順書
When:[ 利用開始時期 ] から使用
Where:[ 利用環境・状況 ]
Why:[ 作成目的・解決したい課題 ]
How:記載項目:[ 必須の項目をリスト ]
表現方法:[ 図解/画面キャプチャ/箇条書き ]
注意事項:[ 強調すべき点/想定トラブル ]

トラブルシューティングのテンプレート

以下の条件でトラブル対応手順を作成してください。

Who:[ 対応者の技術レベル ]
What:[ 発生している問題 ] への対応手順
When:[ 問題発生状況・緊急度 ]
Where:[ 発生環境・システム ]
Why:[ 影響範囲・重要度 ]
How:手順形式:[ フローチャート/チェックリスト ]
必要な情報:[ 確認項目/判断基準 ]
優先順位:[ 対応の優先度設定 ]

これらのテンプレートは、実際の業務で発生する状況に応じてカスタマイズして利用してみてください。
AIの回答を受けて追加の質問や修正を重ねることで、より実用的な成果物に仕上げることができます。

5W1Hテンプレートの応用テクニック

基本の5W1Hを理解したら、より高度な使い方で回答の質を向上させましょう。
ここでは実践的な応用テクニックをご紹介します。

より詳細な回答を得るためのオプション指定

AIに期待する回答の形式を具体的に伝えることで、より使いやすい回答を得られます。
3パターンのテンプレートをご紹介します。

例:文字数や形式の指定方法

以下の形式で回答してください:

  • 文字数:1セクションあたり300字程度
  • 構成:見出し → 概要 → 詳細説明の3層構造
  • 箇条書きは3階層まで
  • 各セクションの最後に「重要ポイント」を追加
例:専門用語レベルの調整

専門用語の使用について:

  • IT業界標準の用語は日本語に置き換える
  • 初出の専門用語には()内に簡単な説明を付ける
  • クラウドサービスの名称は一般名称に置き換える
例:具体例の数の指定

以下の具体例を含めてください:

  • 成功例を2つ
  • 失敗例と対処法を3つ
  • よくある質問と回答を5つ
  • 図解による説明を2か所

回答の質を高めるための追加質問

続いては、最初の回答を基により深い内容を引き出すための質問テクニックです。

例:具体化を求める

「〇〇の部分について、実際の手順を示してください」
「△△の判断基準を、具体的な数値で示してください」

例:別の視点を求める

「これを経営層に説明する場合、どの部分を強調すべきですか?」
「コスト面での影響についても解説してください」

段階的な情報の引き出し方

最初の回答を基に、より深い内容を引き出すための質問テクニックです。

Step 1
基本的な5W1Hテンプレートで質問

Step 2
回答の中で不明確な部分を特定

Step 3
具体例や詳細の追加を依頼

Step 4
実務での適用方法を確認

Step 5
最終的な形に調整を依頼

これらの応用テクニックを使いこなすことで、AIから実用的で質の高い回答を得ることができます。

まとめ

生成AIを活用するうえで、よくあるつまずきポイントとして以下のようなものが挙げられます。

  • 答えが長すぎる / 短すぎる
  • 焦点がずれた回答になる
  • 具体的な情報が足りない

AIとの対話は単発の質問ではなく、対話を繰り返すことで回答の質を高めていく過程が重要です。
まず一度回答を得た後、必要に応じて追加の質問や修正依頼を行うことで、より実用的な内容に改善してきましょう。

生成AIは私たちの「協力者」です。
適切なコミュニケーション方法を身に付ければ、心強い味方になってくれるはずです。
明日から早速この記事でご紹介したテンプレートを使って、日常的な業務から少しずつ生成AIの活用を試してみてくださいね。


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