業務効率化や生産性向上に「RPA」は有効な手段といわれています。
RPAとは人が行っている作業を代行できる、ソフトウェアロボット技術のことです。
RPAの得意なこと、導入するメリットや注意点などを解説していきます。
1. RPAとはなにか
RPAは、「ロボティックプロセスオートメーション（Robotic Process Automation）」の頭文字を取ったテクノロジーの名称で、PCで人間が毎日行う単純な作業やタスクを自動化するソフトウェアロボットです。
RPAのすごいところは、これらのロボットが人間の操作と同じようにコンピューター上でタスクをこなすこと。
たとえば、データ入力、ファイルの移動、メールの送受信、Webから情報を収集するなど、様々な作業を代行してくれます。
レベル別の3クラス
RPAには自動化レベルに3段階のクラスが存在します。
クラス1 RPA（Robotic Process Automation）：定型業務の自動化
RPAはルールを基準としたの自動化ソフトウェアで、人間の作業を模倣してアプリケーションを制御します。
主に繰り返しで単純なタスクの自動化に使用され、事前に設定されたルールに従います。
適用例: 請求書のデータ入力、顧客情報の更新、在庫の監視など
クラス2 EPA（Enhanced Process Automation）：一部非定型業務の自動化
EPAはRPAの進化形で、AI（人工知能）や機械学習を活用してタスクを自動化します。
これにより、より複雑なプロセスや判断力を必要とするタスクを処理できます。EPAはルールづけや情報の構造化がされていない非定型業務の処理が可能です。
適用例: データ解析と予測、カスタマーサポートの自動化、財務プロセスの最適化など
クラス3 CA（Cognitive Automation）：高度な自律化
CAはさらに高度な自動化で、自己学習や自己改善能力を持つといわれています。
AI、機械学習、自然言語処理（NLP）などの高度な技術を活用して、複雑な知識が必要となるタスクを自動化します。ゆえにCAは人間の認識と判断に近い能力を持つことが目指されています。
CAは将来の自動化の進化に向けた概念として注目されていますが、まだ実現化には至っていません。
適用例: 自動化されたカスタマーサービス、医療診断支援、契約書の解釈と作成など
3種類のRPAツール
PRAのツールは3種類のタイプがあります。
それぞれのタイプには利点と制限があり、使用用途やニーズによって選択肢は異なります。
サーバ型RPAツール
リモートサーバ上で実行されるタイプのツールです。ユーザーはクライアントソフトウェアを使用して、リモートサーバ上でプロセスを設定、実行、および監視します。
この種のRPAツールは、大規模で複雑なタスクを処理し、セキュリティと遠隔アクセスの要件を満たすために使用されます。
デスクトップ型RPAツール
ユーザーのローカルコンピュータ上で実行されるタイプのツールです。ユーザーが自分のコンピュータ上にソフトウェアをインストールし、それを使用してプロセスを自動化します。
これは個別のタスクや小規模なプロセスを自動化するのに適しており、セキュリティとプライバシーが重要視される場合に役立ちます。
クラウド型RPAツール
クラウド上でホストされ、Webブラウザを介してアクセスされるタイプのツールです。ユーザーはブラウザを通じてプロセスを設定し、実行します。
クラウド型RPAは、スケーラビリティとアクセスの容易さに優れており、特に分散環境やリモートワーカー向けに適しています。
2. RPA普及の背景
日本の人口減少に伴う働き手不足と働き方改革が、PRA普及における大きな要因と考えられます。
まず人が行っていた作業をRPAに置き換えることで、人為的な作業ミスが軽減します。
定例業務の労働力依存型業務を自動化し、コスト削減と生産性の向上を図り、これまで時間をかけることができなかった別の業務やコア業務に人材を充てることができるようになります。
RPAはプログラミングスキルがない人でも利用できることも大きなメリットで、IT業界のみならず様々な業種の企業や組織で採用が進んでいます。
このような理由から、さまざまな業務をオートメーション化できるRPAに注目が集まっています。
3. AIとの違い
RPAはルールに基づいてあらかじめ設定された手順に従ってタスクを自動化するのに対し、AIはデータを学習して問題を解決するための自己学習アルゴリズムを使用します。
RPAはルーチンな作業に特化しており、AIは複雑なタスクや意思決定に向いています。
4. Excelマクロとの違い
ExcelマクロとRPAはどちらも作業の自動化に使えるツールですが、それぞれアプローチが異なります。
Excelマクロは主にExcelファイル内のタスクを自動化するためのツールで、Excelという特定のソフトウェアに特化しています。
RPAは複数のアプリケーションやシステム間でタスクを自動化できる汎用性の高いツールで、幅広いタスクに対応できます。
5. RPAの仕組み
人間が行っている作業を各業務フローを整理し、PRAがわかるかたちに書き起こします。これをシナリオを呼びます。
そして作成したシナリオを、実行ツールによって自動で実行します。
シナリオに記されている内容は高速で処理され、24時間365日の継続稼働が可能です。
6. RPAが得意なこと・不得意なこと
RPAの得意なこと
ルーチンなタスクの自動化
RPAは繰り返しのルール化されたタスクを得意とします。例えばデータのコピー＆ペースト、フォームの記入、ファイルの移動などです。
高精度な作業
高い精度で作業を実行できるため、ミスが少なく、データの正確性が求められるタスクに適しています。
連続作業
24時間365日の連続稼働が可能です。エラーは報告されるため、常に監視している必要はありません。
大量データ処理
大量のデータを高速かつ正確に処理できるため、データエントリーやデータ処理のタスクに適しています。
複数アプリケーションの連携
異なるアプリケーションやシステム間でデータ連携することができます。
RPAの不得意なこと
判断や臨機応変な対応
RPAは決まったルールに従って作業を行うため、判断力を求められたり臨機応変な対応が必要となるタスクには適していません。
構造化されていないデータ
特定の形式や構造に整理されていないデータはRPAで処理することができません。
変更への適応
プロセスやアプリケーションが頻繁に変更される場合は、RPAのメンテナンスや調整が必要となります。
7. 導入のメリット・デメリット
メリット
効率向上
繰り返しのルーチンタスクを自動化することで、業務プロセスの効率が向上し、作業時間の削減が実現します。
高精度
RPAは高い精度で作業を実行するため、ヒューマンエラーを削減し、データの正確性が向上します。
コスト削減
手作業のオートメーション化により、コスト削減が実現します。導入コストはかかりますが、長期的には経済的な利益が期待できることも多いでしょう。
スケーラビリティ
必要に応じてRPAボットの数を増減できるため、業務拡大に柔軟に対応できます。
デメリット
導入コストと運用コスト
導入時やメンテナンス時にはコストがかかります。小規模な業務プロセスには適していないケースも考えられるため、導入前にしっかりとした検討が必要です。
業務停止のリスク
RPAはシステムのため、障害やバグの可能性も考慮する必要があります。またサーバやシステムの耐性を超える高負荷がかかるようなケースでは、データ消失などの懸念もあります。
セキュリティリスク
インターネットを経由するPRA構成においては、不正アクセスなどのリスクがないとはいえません。セキュリティ対策を万全にする必要があります。
設定ミスの影響
RPAはシナリオにそって休みなく作業を続けます。シナリオに設定ミスがあった場合でもPRAが判断して途中で停止することはできないため、リカバリーには大変な工数がかかることが想定されます。
まとめ
ここまでRPAについてまとめてきました。
RPAは大企業、中小企業問わずさまざまな業種で非常に役に立つデジタルツールです。RPAを導入することでさまざまなメリットがある一方で、デメリットがあることについてもご説明しました。
自社にPRAの導入が適しているか、どのような業務に適用できるかなど疑問を持たれたり、もう少し詳しいことが知りたい方はアウトソースやコンサルティングを検討してみてはいかがでしょうか。
